先週の日曜日、今シーズン初めての佐世保軍港クルーズへ行って来ました。自宅から高速利用で2時間、10時半頃、佐世保に到着します。この日の佐世保は見事な青空で、暖かく、クルーズには最適な陽気でした。

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ますは倉島岸壁に停泊している艦船の様子から。この日、倉島岸壁には、むらさめ型護衛艦「ありあけ」「はるさめ」、あぶくま型護衛艦「じんつう」、はつゆき型護衛艦「あさゆき」、あさぎり型護衛艦「さわぎり」、掃海艇「ひらしま」「たかしま」、ひうち型多用途支援艦「あまくさ」の計8隻の艦艇が停泊してました。賑やかでしたね。

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操縦の訓練かなにかでしょうか?ボートが走り回ってました。

みなとインターの下、佐世保競輪の観光駐車場に駐車して、クルーズの受付がある駅の観光センターに歩いて向かっていたのですが、もうすぐえきに着くというところで財布を車に置いてきたことに気がついて戻ります。

受付は11時10分までだったのでかなり焦ったです。途中、観光センターに電話して、空席状況を確認して、これから行くと連絡を入れておきました。駐車場に着いたら、時間がなかったので車で移動、有料の新みなと駐車場に車を入れて駅へ急ぎます。そしてなんとか無事、チケットを手に入れることができました。

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軍港クルーズを担当する婆羅門観光のクルーズ船。ぼぼ満席状態でした。クルーズは佐世保マイスターの方が案内をします。11時30分出港。
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アメリカ海軍佐世保基地。第七艦隊の基地です。建物は米軍基地司令部。1922年(大正11年)に旧海軍の佐世保鎮守府港湾部庁舎として建てられた建物です。

司令部の横には国連旗、星条旗、日ノ丸、そしてPOW/MIAの旗が掲げられていました。POW/MIAの旗とは、POW(戦争捕虜)とMIA(戦争中行方不明者)のことで、捕虜になった人や戦争で行方不明者になった人達を決して忘れないという意味の旗です。

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立神岸壁の一番手前にいたのは、むらさめ型護衛艦「あけぼの」。

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むらさめ型護衛艦は主力となる最新型の護衛艦ですね。この日、佐世保にいたむらさめ型は「あけぼの」「はるさめ」「ありあけ」でした。あめ型は3隻いることが多いですね。

北朝鮮の情勢で出払っているのか、「こんごう」「ちょうかい」のイージス艦はいませんでした。そういえば「しまかぜ」もいませんでしたね。また今月から佐世保へ転属となったヘリ搭載型護衛艦「いせ」の姿もありませんでしたね。(呉に戻ってる?)

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「あけぼの」の隣には佐世保にいるのはめずらしい艦種の船、潜水艦救難艦「ちはや」(呉所属)が停泊してました。基本、佐世保には潜水艦はいないので。

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護衛艦の「あけぼの」に比べ「ちはや」は横幅が大きいですね。船体中央に深海救難艇を降ろすムーンプールを備えてる関係でしょうね。

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アメリカ海軍のワスプ級強襲揚陸艦ボノム・リシャール。空母ではありません。形としてはおおすみ型輸送艦の大きいやつって感じで、後部にウェルドック(喫水をさげ、海水を入れて上陸用舟艇などを直接収容できる格納庫)が装備されていてLCACエアクッション揚陸艇が3隻搭載できます。ちなみにおおすみ型輸送艦の搭載数は2隻です。

航空機は大型ヘリなら最大42機搭載できるほか、ハリアーやオスプレイなどのV/STOL機も搭載できます。また、1個海兵遠征部隊を全部収容できる能力を持ち、海兵隊員1894名、M1A1戦車5両、歩兵戦闘車25両、支援車両80両、榴弾砲8門を輸送できるようです。

全長257m、軽荷排水量27565トン、満載排水量40500トンの大型艦艇です。今年竣工したいづも型ヘリ搭載護衛艦「かが」よりも大きいですね。

佐世保に来る時に、みなとインターから降りる時に、正面にこのボノム・リシャールがすごく大きく見えた気がして、一瞬、出港してるところかと思いましたが、普通に停泊してるだけでした。しかし、いつもは米軍艦艇はもう少し奥に引っ込んでる気がするのですが、今回はずいぶん手前に停泊してましたね。

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珍しく後部にあるウェルドックのハッチが開いてました。

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ボノム・リシャールを守るように睨みを利かす米軍のパトロール艇。

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ボノム・リシャールのウェルドック。エアクッション揚陸艇は基地に帰ってるのでしょうか?搭載されてないようですね。

しもきたウェルドック
参考までにおおすみ型輸送艦「しもきた」のウェルドック。比べてみるといかにボノム・リシャールのウェルドックが大きいかわかりますね。おおすみ型も実際見ると相当大きいのですが、ワスプ級はさらに大きいです。


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立神岸壁の奥のバースにはあきづき型護衛艦「すずつき」が停泊してました。

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そして、「あけぼの」や「ちはや」の死角になって見えませんでしたが、おやしお型潜水艦が1隻、隠れてました。佐世保には所属する潜水艦部隊はなく、潜水艦がいるのは珍しいです。今まで佐世保沖に停泊してるのは見たことありましたが、立神岸壁に横付けされているのを見たのは初めてかもしれません。

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貴重な(?)米強襲揚陸艦とおやしお型潜水艦の2ショット。

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あきづき型護衛艦「すずつき」。佐世保にはネームシップの「あきづき」も所属してますが、この日は姿が見えませんでした。

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米軍の支援艦艇。USS Pioneer(MCM9)とありますね。調べてみるとアヴェンジャー級掃海艦「パイオニア」とのこと。アメリカ海軍の正式な呼称は「掃海艇」ではなく「対機雷戦闘艇」です。日本の掃海艇とはけっこう違いますね。

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佐世保重工のハンマーヘッド型クレーン。1913年(大正2年)に竣工され、現役で使われている大型クレーンです。国の有形文化財指定。このクレーンは戦艦武蔵の偽装工事の際にも使われました。

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米軍のホイッドビー・アイランド級ドック型揚陸艦「アシュランド」。全長185.9m、排水量11149トン(満載16883トン)。艦内のウェルドックは長さ134m、幅15.24mで、エア・クッション型揚陸艇なら4隻を収容することができる。

ドック型揚陸艦とは艦内のウェルドックに収容した上陸用舟艇を用いた揚陸を主体として行う艦艇です。細かい区別としてはドック型揚陸艦(LSD)とウェルドックを減らして輸送能力を増やしたドック型揚陸輸送艦(LPD)に別けられます。海上自衛隊のおおすみ型輸送艦の艦種はドック型揚陸輸送艦(LPD)に該当します。(※海上自衛隊では戦車揚陸艦(LST)として分類されています)

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主錨がゴールドですね。背が高い印象です。形としては他の2隻と比べると普通な感じの艦艇ですね。

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そして、米海軍佐世保基地所属のもう1隻のドック型揚陸艦、サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦「グリーン・ベイ」です。2本の巨大煙突のような八角柱の構造物に目を奪われます。最初見た時、なんじゃこりゃ?って思いました。これはステルス性に配慮された先進型閉囲マスト/センサー(AEM/S)とのことです。全長208.4m、排水量24333トン。ウェルドックにはエアクッション艇であれば2隻収容出来ます。船体の後部ウェルドックの前の部分は3層の車両甲板になっていて、車両搭載能力に長けてます。

上で述べたように、ドック型揚陸艦は2種類に別れており、「アシュランド」がLSDなのに対し「グリーン・ベイ」はLPDと区分されているようですね。この日は米軍佐世保基地に所属する大型揚陸艦が3隻が帰港しておりました。

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佐世保重工(SSK)のクレーン群。佐世保重工の施設は旧海軍の佐世保海軍工廠に当たります。戦中は上でも述べたように、長崎造船所で建造した戦艦「武蔵」の艤装工事を行っています。また終戦直後には空母「準鷹」「息吹」「笠置」の解体をしました。また出光興産のタンカー「日章丸(3代)」を建造しています。竣工当時は世界最大のタンカーでした。

「日章丸」と聞いて「海賊とよばれた男」に出てくる「日承丸」を思い出しましたが、「日承丸」のモデルの「日章丸」は2代目で、播磨造船所(のちの石川島播磨重工(IHI)、現JMUアムテック)で建造されています。

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立神岸壁沖から見た倉島岸壁。

クルーズ船は立神岸壁から沖へ移動し、佐世保湾の湾口へ向かいます。

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佐世保湾の湾口。幅1kmにも満たないこの海峡のみが佐世保湾の入り口になります。佐世保港が波静かで天然の良港と言われる所以です。軍港としても、ここを押さえておけば敵の侵入を防げるので適しています。

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佐世保湾から見た針尾送信所の無線塔。ニイタカヤマノボレ1208を送信したと言われる無線塔です。天気が良ければ弓張岳などからも見ることができます。

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佐世保湾沖から立神岸壁を望む。

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浦頭(うらがしら)沖には佐世保所属の補給艦が2隻停泊してました。写真はとわだ型補給艦「はまな」。全長162m基準排水量8100トン(満載15850トン)。

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ましゅう型補給艦「おうみ」。全長221m、基準排水量13500トン(満載25000トン)。ましゅう型補給艦は海上自衛隊の艦艇の中ではヘリ搭載護衛艦に次いで大きな艦艇です。よく見てみると「はまな」にはないヘリ格納庫が「おうみ」にはありますね。

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今回のクルーズでは「おうみ」にかなり近寄ってくれました。お陰で、その大きさがよくわかりましたね。

クルーズ船は再び北上をして倉島岸壁のほうに向かいます。

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崎辺地区の警備隊基地にいたすがしま型掃海艇「くろしま」。すがしま型は2本の煙突が特徴かな?

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YDT05、水中処分母船5号。水中処分母船とは潜水作業支援船で水中処分隊の輸送や作業支援を行う船です。水中処分隊は機雷などの掃海作業を行うほか、水中機材の調査などを行います。

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はやぶさ型ミサイル艇「おおたか」。

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はやぶさ型ミサイル艇が2隻並んでました。右は「しらたか」。ミサイル艇は小型ながら速射砲や90式SSM(対艦ミサイル)等を装備している戦闘艇です。特徴としてはウォータージェット推進を採用していて高速で移動できること。最大速度は44ノット(時速約80キロ)に達します。船体のデザインはステルス化が図られ、カクカクしているのも特徴です。

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水中処分母船5号が停泊している桟橋のむこうで旋風が発生してました。

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佐世保教育隊のカッター。

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一里島(弁天島)の弁天島灯台。

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前畑沖から立神岸壁。左から「ちはや」「あけぼの」「ボノム・リシャール」ですね。

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前畑岸壁。倉庫や工場が並びます。

前畑地区を抜けると、いよいよ倉島岸壁へ近づいて行きます。

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倉島岸壁に停泊するむらさめ型護衛艦「ありあけ」。奥は「はるさめ」。

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倉島岸壁に停泊していた3つの異なる護衛艦。きり型(さわぎり)、ゆき型(あさゆき)、あぶくま型(じんつう)。

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護衛艦「あさゆき」と「じんつう」。

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さわぎり、あさゆき、じんつう。真横から。

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ひらしま型掃海艇「ひらしま」。ひらしま型は木造船体最後の掃海艇です。次級であるえのしま型掃海艇はFRP(繊維強化プラスチック)製の船体になりました。

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じんつう、あさゆき、さわぎりを後方から。

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さわぎり、あさゆき。じんつう。

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ありあけ、はるさめ。

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むらさめ型、艦首、尖ってますねえ。この構図で撮影できるのは、クルーズならではですね。

この後、新港の桟橋に戻り、クルーズ終了です。

今回のクルーズでは「ボノム・リシャール」の後部が開いてるのが見れたのと、呉からおやしお型潜水艦と潜水艦救難艦「ちはや」が来てた事、補給艦「おうみ」に接近できたことが珍しかったかなー。最近は満席のことが多くなかなか乗れなかったりする佐世保の軍港クルーズですが、今シーズンも可能な限り乗っていきたいと思います。


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